弱虫ペダルが好きすぎて

祝!連載10周年!!アニメ4期は2日目の山へ!週チャン連載はいよいよラストゴールへ!ゆるペダルナイトで『総北信号機トリオの手繋ぎゴール』を先生にお願いしたかったのに忘れて大後悔中。弱虫ペダルの好きな場面と時々声優関智一さんの舞台話など。

神楽坂怪奇譚 -棲- 弱虫ペダルが好きすぎて ここまで流れてきました

わたるん先生

今日は一見、弱虫ペダルとはなんの関係もなさそうな舞台のお話です。
今週「神楽坂怪奇譚 -棲-」というお芝居を観てきました。

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客席数わずか70の小さな小屋で、舞台上に立つ演者さんは二人だけ。
朗読劇というカテゴリに一応は分類されるお芝居です。

朗読劇って本を読むだけでしょ、と思われがちなのですが、それ以上のものをいつも見せてもらい、声の力ってすごいと改めて思い知らされます。

朗読劇は昔から好きでした。
今は取り壊して建て直し中の渋谷パルコにあったPARCO 劇場で長年ロングランしていた「LOVE LETTERS」というお芝居がきっかけでしたが、LOVE LETTERSからはしばらく遠ざかっていたら入れ替わりのように、声優関智一さんを好きになり、その関さんの出演舞台を追いかけているうちに、気づいたら朗読劇に戻ってきていました。

今回の「神楽坂怪奇譚 -棲-」は私にとっては好きなもの全部載せ、みたいな舞台なのでした。
以前見に行けなくて悔しい思いをしたホムンクルスを書いた藤沢文翁さんが「泉鏡花」「神楽坂」「怪奇譚」というキーワードで書き下ろした舞台の再演。
見に行かなくてはならない、私のための舞台だ、ぐらいに思うほど好きなものが全部詰め込まれていました。

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チケット発売日の数日前から全身全霊、全精神をチケット発売に集中させ、希望日のチケットが取れることを八百万の神、全宇宙、すべての英霊に祈って準備していました。

その甲斐あってか、希望していた日時、席種、すべてチケット確保でき、指折り数えて待っていた公演当日。

これ以上の観劇体験はしばらくできないんじゃないかと思うほど、震えのくる舞台を見せてもらいました。
終わってしばらく立つことも動くこともできず、金縛りにあったような状態でした。


このお話は「怪奇譚」というだけあって、ちょっと怖いのです。
怖いと言っても幽霊やお化けが直接的には出てくることはなく、足元や背後からぞわーっと覆い被さってくる恐ろしさ、なのですが、演者さんの組み合わせが変わると、恐ろしさも味わいも全く別物になる、文字通り一つとして同じ舞台はありませんでした。

一番楽しみにしていた2日夜公演の組み合わせ「関智一 x 朴璐美」。
前日もその前も、終わった後怖かったーと思ったのですが、そんなのちっとも怖いに入らないぐらい、恐ろしくて恐ろしくて、身動きできない。完全に金縛り状態でした。

舞台中盤から息をするのも苦しく口はカラカラ、早鐘のように鳴っていた心臓は帰り道の間もずっと収まらず、家について感想と感情を自分だけの観劇記にすべて吐き出してようやく心拍が普通に戻る、それくらいのインパクトです。
台本をめくり、セリフを追いながらその時の関さん、璐美さんの表情、声の調子、目の光を思い出して反芻して、”物語” が満足して落ち着いてくれるまで何度も何度も恐ろしさや他に湧いたいろいろな感情を味わい切ってから、ようやく眠りにつきました。それぐらいしないと夢に出てきて眠れないに違いないと思ったから。

上演時間が1時間だと知らされた時は正直、短いな、と思ったのですが大まちがい。
あんなの2時間も見せられたら、身体がもたないし、こっちに何かが棲みついてしまいそうです。
いつの間にか肩は上がり、背中まで硬直していました。

ここまでの体感、予想外でした。
芝居バカのお二人の組み合わせ、きっとすごい舞台になるに違いないという予感と期待はあったものの、こんなにも恐ろしい思いに突き落とされるとは思わず、いい意味で期待を裏切られました。
さすが〜すごい〜と感動するだろうなとの期待はもちろんあったのですが、そんな程度ではすみませんでした。

手を伸ばせば届きそうなほどに舞台と客席の距離が近く、すぐ目の前に関さんがいる!この席を引き当てた自分を祝い、当ててくれた全ての人、ものに感謝しました。

役者関智一、役者朴璐美、お二人のエネルギーが役に、舞台に役に込められ小屋全体にそのエネルギーが満ちていくプロセスの中に浸りきった濃密な時間。

舞台に上がってから開演までのほんのわずかな時間軽口を叩き、場を温めていたと思ったら、照明が落ちてイントロの歌と効果音が鳴り始めた途端に目を閉じ、みるみる泉鏡花になっていく関さん。

途中照明が落ちて場面転換があり、二人の役が変わるのですが、そのほんの20秒ぐらいの照明が落ちている間にも、すっと次の役に入っていくのが素人目にもわかるほどはっきりと顔つきが変わっていき、震えがきました。

役者ってこんなふうに役に入っていくのか、この人たちはいつもこんなふうにパラレルワールドを生きてるのか。
そのパラレルワールドに見ている観客を引きずり込む力、恐ろしい力だと思いました。

ものすごく恐ろしい体験、ではありました。
でもその恐ろしさを、濃密な空気を生み出すお芝居を、生で見られたことは言葉で尽くせないほどの幸せでした。

どうしても欲しいものは欲しいと手を伸ばすべきだ、と思います。
その時ものすごく心が動いたのなら、言い訳せずにすなおに従うのが正解だと思います。
自分の人生を形作る一つ一つのピースをそうやって素直な心に従って集めていけば、死ぬ時後悔することはないだろうな、と思いました。

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